折り図tips:紙の向きを分かりやすく

対称性が高く紙の向きを間違えやすそうな場合は、早い段階でカドなどを折って印となる形を作っておくと、向きが分かりやすくなります。

例えば次の図のように、「折ってあるカドが下」としておけば、分かりやすく、紙の向きや対称軸を間違えにくくなります。

(なおこの後対称的でない折り筋つけていくという、向きを間違えないで欲しい工程になります。)

小松英夫さんとの会話の中で出てきたネタで、小さな工夫の割にはかなり効果のある、正にtipsという小技です。


6-√2とマイナスの数値の折り出し

いつもの比の折り出しの話。

1+√2 : 4-2√2 : 1
=6-√2。多分折った事のない比率だ。
この手の場合は一辺の長さに対して1を折り出してから、1+√2を出すのがよさそうです。

このケースでは4と2-√2に分けるのが恐らく最適解。
意外に思われるかもしれませんが、2-√2はとても折り出しやすい長さです。22.5度の線1本で折り出す事ができます。

という事で折り出し手順。


ポイントは2-√2の折り出しで、見て分かるとおり、2も√2も折り出す必要がありません。
最後に1の幅から22.5度の線で1+√2を折り出せば、完了です。

 


 

さて、実はここまでは前置きで(ほぼ最適解であろう答えは出ているのだけれど)、ここからが本題。

もう1つ。6と-√2に分ける場合を考えてみます。
問題は-√2という数値を折り出す事ができるのか?という点なのですが……あまり実用性はないけれど、可能なのです。

今回使っている折り出し方の場合、カドから2本の線が交差するように内側に向けて基準線をつけるのですが、それを反対側……つまり外側にむけてやるとマイナスの数値を折り出す事ができます。

ただし、紙の外側に折り筋をつけることはできないので、実際には半分の長さなどで折るのがよいでしょう。
分かりやすい例として、3等分の方法を見てみましょう。分割方法は4と-1です。
という事で折り手順はこのようになります。なお実用性はあまりない。この方法が使われている・紹介されているのを私は知りません。

では本番。6と-√2の場合の折り手順です。折り出しやすさの都合上、6:2(=3:1)と-√2:2で折り出しています。

 


 

以上、よく考えてみれば当たり前のマイナスの数値の折り出し方法です。活用できるケースは限られているかと思いますが、いざ必要な場合にはとても便利そうです。

 


折紙探偵団マガジン115号(20期)クローズアップ「22.5度系の比の折り出し」(神谷哲史)

※比の折り出し方法等の解説です。合わせてご覧下さい。


塗りのある直線

  • 直線には塗りを設定しない方がよい
  • 画面に表示されなくても、面積ゼロの塗りオブジェクトが存在する
  • 環境によっては表示される場合もあり、不都合となる可能性もある

以下、詳しく。

ドローソフトでは、線などのオブジェクトに「線の色」と「塗りの色」を設定することができます。ほぼ全てのオブジェクトに対して色の設定自体は可能なので、必要のない部分にも塗りの色を設定する事が出来ます。

但し、例えば単純な直線のような、面積のないオブジェクトへ塗りを設定するのは意味がないので、相当特殊な理由がない限り避けるべきでしょう。

具体例として、谷折り線に塗りを設定した場合を見てみます。

まず、FreeHand MXでは、直線の塗りは描画されません。

折り図を描いていても、塗りがあること自体に気がつかないかもしれません。

さて、同じデータをIllustratorで開くとこうなります。

点線に設定された塗りが、細い線として描画されます。線が2重になっているようで紛らわしいですね。

さらに、PDFとしてAcrobatで開くと、AIと同様に線状に描画されます。前述のFHや、最近はInkscape製のデータで結構見かけます。

なお、同じPDFでも、MacOS標準のプレビューでは描画されません。

この例とは逆に、折り筋線のつもりで塗りのみのある直線をつかってしまうと、画面では見えるのに印刷では消えてしまう線になってしまう可能性があります。

表示が安定しない、無駄なデータを持つメリットはありません。面積のないオブジェクトには、塗りを設定しないように気をつけるとよいでしょう。


MZ-700に不可能はない

MZ-700とは、1982年にシャープより発売された、いわゆるマイコンで。不可能はないマシンとして(一部で)有名。実家に父の買ったこの機種があり、小さいころ簡単なBASICプログラムなどを書いて遊んでいました。

で、時は過ぎて数年前、懐かしいなあと思いながらネット上をふらふらしているうちに、見つけたのがこちら。「MZ-700に不可能はない」という言葉について、わりと熱い内容の記事となっています。

http://dic.nicovideo.jp/a/mz-700%E3%81%AB%E4%B8%8D%E5%8F%AF%E8%83%BD%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%84

さて、この「不可能がない」は当然折り紙にも当てはまります。
実例としては、龍神を創作した時に考えていた事が正にこれなのです。折り紙でそんなことが「できるわけがない」という考えを意識的に捨てて、馬鹿馬鹿しいようでもまずは実際に試してみる。そこで得られたものを積み重ね、一つずつ「できるわけがない」を潰していく。改めて考えてみても、不可能はないという立場を取って挑戦したからこそ生まれた作品なのです。

恐らく折り紙に限らない話なのですが、創作者が「できない」と考え諦めたことは実現できません。一見無理そうな事でも「不可能はない」と考え試してみる事で、可能性が0ではなくなります。なによりこの手の事はとにかく試してみるのが重要で、もし完成しなくても得られるものは必ずあります。

以上、私の座右の銘でもあり、今日の一言の中でも、最も元ネタがわからないであろう「折り紙に不可能はない」についてでした。


15+4√2

今更ながらいつもの。本人がいたのに話し忘れていた。

比の折り出しの基本は、2つの「折り出しやすい数字」に分けることです。折り出しやすい数字とはという問題はありますが、今回の場合、4√2側に8を移して(つまり4(2+√2)だ)、7:8+4√2に分けることができます。
ということで折り出し方法を2種類。
まずは7:8と8+4√2:8(=2:2+√2)の2つの長方形の対角線を折り出す方法。
それぞれの数字に2の累乗数の「8」を組み合わせることで、折り出しやすい比率になっています。
もう一つ。1辺を8+4√2として、対応する7を折り出す方法。つける折り筋も少なく、対角線上に折り出せるので使いやすそうです。
どちらの方法も、7の側の位置は比較的簡単に変更できるので、同じような方法で「13+4√2」や「11+4√2」なども折り出せます。


4/30教室作品

手順の整理」について考えならがどうにからならないかと麒麟といじっていたのですが、残念ながら今回は難しいという結論に至りました。

今回は個人的な趣味全開でアカヒレといたします。題材が地味なのが最大の難点ですが、蛇腹の魚としては、それなりにまとまりのよい作品ではないかと思います。また25cmで余裕で折れる、作例の15cmでも十分現実的というのがいろいろと優しい(※麒麟は最低35、奨励60cm以上)。

とはいっても、麒麟の方もせっかく整理もしたのでおまけくらいにはできないかと考えています。


手順の整理 折り図を描く前に。

自分の作品を折り図化する場合、実際に図を描くよりも前に手順化という作業を行っています。 これは実はすっとばしても折り図自体は描けるのですが、より分かりやすく、説明しやすく(=描くのが楽)、無駄のない(=図の数が減る)手順などを事前に考えておく事で、折り図の質を高めることにつながります。また、手順を整理しておくことで図を遡った修正なども減らすことができます。

具体的には、実際に何回か折って、手順や作品自体の整理を行います。折る順番を変えたりしながらある程度の試行錯誤が必要です。

  • 事前につける必要のある折り筋の精査
  • 折り筋をつける順番
  • 折り畳み手順の検討
  • それが説明可能かつなるべく図解しやすいことの確認
  • 場合によっては作品自体の変更と修正
  • 曖昧な基準や折りの整理
  • 仕上げの折りをどこまで説明するか線引き。

こんなところだろうか。結構いろいろと考えています。

・事前につける必要のある折り筋の精査

展開図の折り筋全部を事前につけてしまうのも一つの手ではありますが、実際には手順で自然につけられる折り筋や、折る時につけても問題ない折り筋も多いものです。また、たくさんの折り筋がついていると、図解作業の手間も増えてしまいます。 確実につけておく必要のある折り筋を精査しておけば、図を見やすく、無駄な手順を省く、作業の省エネ化などが期待できます。

・折り筋をつける順番

基本は分かりやすく・折りやすくです。例えば蛇腹状の折り筋をつける場合、まず1/2、次に1/4、1/8といったように、順番に細かくしていくと、折り間違いなどを減らす事ができます。また誤差の出にくい手順、さらには漸近法等を利用した誤差を目立たなくする手順なども考えられます。このあたりは今後の研究が期待されます。

・折り畳み手順の検討

「展開図どおりに折り畳む」はなるべく避けたいので、なるべくまともな手順を考えます。先に折るべき部分や、条件が揃わないと進められない部分などもあるはずなので、比較検討しながらより良い手順を探します。 なにより無駄がない手順であれば、図解の手間もその分減ります。

・説明可能かつなるべく図解しやすいことの確認

上記の項目と被りますが、それぞれの手順がなるべく説明しやすいことや、なるべく同時に折り畳む工程を潰す(=立体図を減らす)など、折り図にした時の事も考えた手順にするとよいでしょう。

・場合によっては作品自体の変更と修正

とはいえ、そもそも良い手順に出来ないような場合もあります。内部構造や細部を修正することで改善できるのであれば、作品自体の修正も検討するべきです。

・曖昧な基準や折りの整理

細かい形や、曖昧な折りなどはなるべく整理しておきます。基準等もなるべく決めておくといいですね。

・仕上げの折りをどこまで説明するか線引き

これは作品によりますが、仕上げの比率が大きい作品の場合、たとえばぐらい折りや曲線を完全に説明するのは不可能です。また、用紙や大きさによって調整しなければいけないような部分は、折り図では説明しにくい(もしくは意味がない)場合もあります。ある程度割り切って、説明する部分としない部分の線引きを行う必要があるでしょう。

最後に。 分かりやすい手順、きれいに折れる手順、覚えやすい手順、折りやすい手順、図にしやすい手順、面白い手順、いろいろな手順が考えられますが、全てが同じ結果であるとは限りません。また全てを満たす完璧な手順はそうはありません(例えば一般的な折り鶴の手順はほぼ完璧ではあるのですが、「きれいに折れる手順」だけを考えるならより良い手順が存在します)。 2つくらい優先する項目を決めて、それを基準に考えるとよいかと思います。

「段取り八分」という言葉もあります。手順の整理は折り図制作の一部と考えて、しっかりと準備をしておくとよいですね。


初音ミクの折り紙と利用

ちょっと気になったので。

結論から。公式がガイドラインを出してるので読め。以上。 http://piapro.jp/license/character_guideline

要約がとても簡潔で分かりやすい。

http://piapro.jp/license/pcl/summary

 

以下、専門家ではないので無責任な雑感。かなり興味深いガイドラインでした。

折り紙の関連する範囲では、大抵の場合は「A.非営利かつ無償の利用」に含まれるかと思います。 自分で創作した・もしくは他の人の作品を折ったものを、ウェブサイトやブログ等で公開する場合や、コンベンション等での展示も問題無さそうです。

「PCLクレジットを表示するよう努めてください」とありますので、可能な限り表記しましょう。twitterなどは文字数的に難しそうなので、努力義務的な条件はよく考えられています。

「B.非営利かつ有償の利用について」は、例えば折り図の同人誌や、折った現物を手間賃程度の金額で配布するようなケースでしょうか。 ちゃんと許可を得る方法としては、かなり簡単に手続きができるようです。

はっきりと言い切れないのは、折り方を教える場合です。 文面を読む限りでは、無償ならAでOK、有償や営利目的の教室であれば許可が必要。営利かどうかによって手続き方法が変わるのかな。 コンベンション等での講習は、講習を行う人は無償かつ趣味の範囲なのでAの無償利用に含まれると思うのですが(現実的に問題にはならないと思うし)、最終的な判断するのは許可を出す側になります。

なんにせよ 、 分かりやすい形で可・不可が表明されているのは良いことですね。


折り図tips: 矢印の向き

基本的に、矢印の向きは図の視点(重なりのずらす方向)や動きと合わせた方が分かりやすい。

左側の方は視点と同じ側なので、直感的で分かりやすい。右側は向きが違うので、間違いではないのですが違和感があります。説明の都合などの必然性がなければ、向きを合わせた方が良いでしょう。

 

実際に折り図を見ながら折る場合、その図だけではなく前後の図も一緒に見ながら折ります。左の図だけ見ればどちらでも構わないのですが、場合によっては次の図と向きを合わせておいた方が分かりやすい。

 

紙の動きと矢印を合わせた例。それぞれ左側の方が、どのように折るか理解し易いのではないかと思います。右側は、よく見ると間違いではないのだけれど混乱しますね。