塗りのある直線

  • 直線には塗りを設定しない方がよい
  • 画面に表示されなくても、面積ゼロの塗りオブジェクトが存在する
  • 環境によっては表示される場合もあり、不都合となる可能性もある

以下、詳しく。

ドローソフトでは、線などのオブジェクトに「線の色」と「塗りの色」を設定することができます。ほぼ全てのオブジェクトに対して色の設定自体は可能なので、必要のない部分にも塗りの色を設定する事が出来ます。

但し、例えば単純な直線のような、面積のないオブジェクトへ塗りを設定するのは意味がないので、相当特殊な理由がない限り避けるべきでしょう。

具体例として、谷折り線に塗りを設定した場合を見てみます。

まず、FreeHand MXでは、直線の塗りは描画されません。

折り図を描いていても、塗りがあること自体に気がつかないかもしれません。

さて、同じデータをIllustratorで開くとこうなります。

点線に設定された塗りが、細い線として描画されます。線が2重になっているようで紛らわしいですね。

さらに、PDFとしてAcrobatで開くと、AIと同様に線状に描画されます。前述のFHや、最近はInkscape製のデータで結構見かけます。

なお、同じPDFでも、MacOS標準のプレビューでは描画されません。

この例とは逆に、折り筋線のつもりで塗りのみのある直線をつかってしまうと、画面では見えるのに印刷では消えてしまう線になってしまう可能性があります。

表示が安定しない、無駄なデータを持つメリットはありません。面積のないオブジェクトには、塗りを設定しないように気をつけるとよいでしょう。


MZ-700に不可能はない

MZ-700とは、1982年にシャープより発売された、いわゆるマイコンで。不可能はないマシンとして(一部で)有名。実家に父の買ったこの機種があり、小さいころ簡単なBASICプログラムなどを書いて遊んでいました。

で、時は過ぎて数年前、懐かしいなあと思いながらネット上をふらふらしているうちに、見つけたのがこちら。「MZ-700に不可能はない」という言葉について、わりと熱い内容の記事となっています。

http://dic.nicovideo.jp/a/mz-700%E3%81%AB%E4%B8%8D%E5%8F%AF%E8%83%BD%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%84

さて、この「不可能がない」は当然折り紙にも当てはまります。
実例としては、龍神を創作した時に考えていた事が正にこれなのです。折り紙でそんなことが「できるわけがない」という考えを意識的に捨てて、馬鹿馬鹿しいようでもまずは実際に試してみる。そこで得られたものを積み重ね、一つずつ「できるわけがない」を潰していく。改めて考えてみても、不可能はないという立場を取って挑戦したからこそ生まれた作品なのです。

恐らく折り紙に限らない話なのですが、創作者が「できない」と考え諦めたことは実現できません。一見無理そうな事でも「不可能はない」と考え試してみる事で、可能性が0ではなくなります。なによりこの手の事はとにかく試してみるのが重要で、もし完成しなくても得られるものは必ずあります。

以上、私の座右の銘でもあり、今日の一言の中でも、最も元ネタがわからないであろう「折り紙に不可能はない」についてでした。


15+4√2

今更ながらいつもの。本人がいたのに話し忘れていた。

比の折り出しの基本は、2つの「折り出しやすい数字」に分けることです。折り出しやすい数字とはという問題はありますが、今回の場合、4√2側に8を移して(つまり4(2+√2)だ)、7:8+4√2に分けることができます。
ということで折り出し方法を2種類。
まずは7:8と8+4√2:8(=2:2+√2)の2つの長方形の対角線を折り出す方法。
それぞれの数字に2の累乗数の「8」を組み合わせることで、折り出しやすい比率になっています。
もう一つ。1辺を8+4√2として、対応する7を折り出す方法。つける折り筋も少なく、対角線上に折り出せるので使いやすそうです。
どちらの方法も、7の側の位置は比較的簡単に変更できるので、同じような方法で「13+4√2」や「11+4√2」なども折り出せます。


4/30教室作品

手順の整理」について考えならがどうにからならないかと麒麟といじっていたのですが、残念ながら今回は難しいという結論に至りました。

今回は個人的な趣味全開でアカヒレといたします。題材が地味なのが最大の難点ですが、蛇腹の魚としては、それなりにまとまりのよい作品ではないかと思います。また25cmで余裕で折れる、作例の15cmでも十分現実的というのがいろいろと優しい(※麒麟は最低35、奨励60cm以上)。

とはいっても、麒麟の方もせっかく整理もしたのでおまけくらいにはできないかと考えています。


手順の整理 折り図を描く前に。

自分の作品を折り図化する場合、実際に図を描くよりも前に手順化という作業を行っています。 これは実はすっとばしても折り図自体は描けるのですが、より分かりやすく、説明しやすく(=描くのが楽)、無駄のない(=図の数が減る)手順などを事前に考えておく事で、折り図の質を高めることにつながります。また、手順を整理しておくことで図を遡った修正なども減らすことができます。

具体的には、実際に何回か折って、手順や作品自体の整理を行います。折る順番を変えたりしながらある程度の試行錯誤が必要です。

  • 事前につける必要のある折り筋の精査
  • 折り筋をつける順番
  • 折り畳み手順の検討
  • それが説明可能かつなるべく図解しやすいことの確認
  • 場合によっては作品自体の変更と修正
  • 曖昧な基準や折りの整理
  • 仕上げの折りをどこまで説明するか線引き。

こんなところだろうか。結構いろいろと考えています。

・事前につける必要のある折り筋の精査

展開図の折り筋全部を事前につけてしまうのも一つの手ではありますが、実際には手順で自然につけられる折り筋や、折る時につけても問題ない折り筋も多いものです。また、たくさんの折り筋がついていると、図解作業の手間も増えてしまいます。 確実につけておく必要のある折り筋を精査しておけば、図を見やすく、無駄な手順を省く、作業の省エネ化などが期待できます。

・折り筋をつける順番

基本は分かりやすく・折りやすくです。例えば蛇腹状の折り筋をつける場合、まず1/2、次に1/4、1/8といったように、順番に細かくしていくと、折り間違いなどを減らす事ができます。また誤差の出にくい手順、さらには漸近法等を利用した誤差を目立たなくする手順なども考えられます。このあたりは今後の研究が期待されます。

・折り畳み手順の検討

「展開図どおりに折り畳む」はなるべく避けたいので、なるべくまともな手順を考えます。先に折るべき部分や、条件が揃わないと進められない部分などもあるはずなので、比較検討しながらより良い手順を探します。 なにより無駄がない手順であれば、図解の手間もその分減ります。

・説明可能かつなるべく図解しやすいことの確認

上記の項目と被りますが、それぞれの手順がなるべく説明しやすいことや、なるべく同時に折り畳む工程を潰す(=立体図を減らす)など、折り図にした時の事も考えた手順にするとよいでしょう。

・場合によっては作品自体の変更と修正

とはいえ、そもそも良い手順に出来ないような場合もあります。内部構造や細部を修正することで改善できるのであれば、作品自体の修正も検討するべきです。

・曖昧な基準や折りの整理

細かい形や、曖昧な折りなどはなるべく整理しておきます。基準等もなるべく決めておくといいですね。

・仕上げの折りをどこまで説明するか線引き

これは作品によりますが、仕上げの比率が大きい作品の場合、たとえばぐらい折りや曲線を完全に説明するのは不可能です。また、用紙や大きさによって調整しなければいけないような部分は、折り図では説明しにくい(もしくは意味がない)場合もあります。ある程度割り切って、説明する部分としない部分の線引きを行う必要があるでしょう。

最後に。 分かりやすい手順、きれいに折れる手順、覚えやすい手順、折りやすい手順、図にしやすい手順、面白い手順、いろいろな手順が考えられますが、全てが同じ結果であるとは限りません。また全てを満たす完璧な手順はそうはありません(例えば一般的な折り鶴の手順はほぼ完璧ではあるのですが、「きれいに折れる手順」だけを考えるならより良い手順が存在します)。 2つくらい優先する項目を決めて、それを基準に考えるとよいかと思います。

「段取り八分」という言葉もあります。手順の整理は折り図制作の一部と考えて、しっかりと準備をしておくとよいですね。


初音ミクの折り紙と利用

ちょっと気になったので。

結論から。公式がガイドラインを出してるので読め。以上。 http://piapro.jp/license/character_guideline

要約がとても簡潔で分かりやすい。

http://piapro.jp/license/pcl/summary

 

以下、専門家ではないので無責任な雑感。かなり興味深いガイドラインでした。

折り紙の関連する範囲では、大抵の場合は「A.非営利かつ無償の利用」に含まれるかと思います。 自分で創作した・もしくは他の人の作品を折ったものを、ウェブサイトやブログ等で公開する場合や、コンベンション等での展示も問題無さそうです。

「PCLクレジットを表示するよう努めてください」とありますので、可能な限り表記しましょう。twitterなどは文字数的に難しそうなので、努力義務的な条件はよく考えられています。

「B.非営利かつ有償の利用について」は、例えば折り図の同人誌や、折った現物を手間賃程度の金額で配布するようなケースでしょうか。 ちゃんと許可を得る方法としては、かなり簡単に手続きができるようです。

はっきりと言い切れないのは、折り方を教える場合です。 文面を読む限りでは、無償ならAでOK、有償や営利目的の教室であれば許可が必要。営利かどうかによって手続き方法が変わるのかな。 コンベンション等での講習は、講習を行う人は無償かつ趣味の範囲なのでAの無償利用に含まれると思うのですが(現実的に問題にはならないと思うし)、最終的な判断するのは許可を出す側になります。

なんにせよ 、 分かりやすい形で可・不可が表明されているのは良いことですね。


折り図tips: 矢印の向き

基本的に、矢印の向きは図の視点(重なりのずらす方向)や動きと合わせた方が分かりやすい。

左側の方は視点と同じ側なので、直感的で分かりやすい。右側は向きが違うので、間違いではないのですが違和感があります。説明の都合などの必然性がなければ、向きを合わせた方が良いでしょう。

 

実際に折り図を見ながら折る場合、その図だけではなく前後の図も一緒に見ながら折ります。左の図だけ見ればどちらでも構わないのですが、場合によっては次の図と向きを合わせておいた方が分かりやすい。

 

紙の動きと矢印を合わせた例。それぞれ左側の方が、どのように折るか理解し易いのではないかと思います。右側は、よく見ると間違いではないのだけれど混乱しますね。


TVチャンピオンの話

TVチャンピオン復活!!  折り紙王以前から見ていた番組ではあったのだけれど、当時はまさかここまで深く関わることになるとは思わなかったなぁ。

過去の5回+αの収録の中で、一番考えるのが楽しかったのはバージェスおせち。制作が楽しめたのは獅子島でのライフサイズ動物園。作戦通りにできたのが上記の犬と魚。緊張したのは恐らく初出場の時の決勝採点時。 やられた感があったのが木下剛さんの寿司一丁。この手の即興とアイディアでは彼に勝てる気がしない。

 

さて、せっかくなのでもう少し。今だから言える話なのだけど、実のところ連覇できたのは、経験とそこから戦略を考える事ができたのが大きい。もちろんある程度の創作能力などは必要ではあるけれど、それだけではない。個人的な感覚だと、戦略・能力・運がそれぞれ同じくらいに影響してくるように思う。そして特に戦略については、出場の経験の有無が大きく関わってくる。

という事で、まずは前提として。

  • 毎回細かいルールの違いはあるけれど、基本的に決勝以外は負けなければいい。
  • ただし、同時に勝ち上がれなければ無駄なので、まあ負けないだろうというレベルのものは必要。
  • また、決勝については、当然勝たなければいけない。
  • 重要なのは準備とそのリソースの配分。決勝とその他で50:50くらいで、決勝以外のものが及第点に達したら決勝作品に集中するという感じ。

例として、作戦がほぼ完璧にはまった6回前半戦を思い出してみます。この勝負は、昆虫、魚、犬を折って合計ポイントを競い1名が脱落というルール。 まさに「負けなければOK」という戦いです。

まずは虫。投票は一般の方(たしか親子)によって行われました。 経験上、この手の一般の人の投票のケースでは、とにかく視覚的に派手でインパクトがある複雑な作品が有効です。また、そのを事を最大限活かすためにも、一定時間でどの程度ものが折れるのかを把握している必要があります。 この辺りの傾向を把握し、対策を練る事ができるかどうかは、 経験者が圧倒的に有利なのです。本番で用意した作品は浪人カマキリ。用紙はホイル紙+雲竜を用意。時間が限られている時には、仕上げののり付けがあまり必要ないホイル紙が便利です。結果としてある程度のリードを確保することができました。

次の魚と犬については題材争奪戦的な内容です。 早い者勝ちで題材を捕まえ、折ったものを5名の専門家に見せて、題材をあててもらった数だけポイントが入る方式。 全員正解なら5点、全員不正解なら何種類折っても0点です。 ここで事前に準備した作戦は、魚介類と犬のうちそれぞれ特徴的な数種類をピックアップして、それぞれ満点をとるつもりで作品を用意。確実に点をとって逃げ切る作戦です。目的は勝ち抜く事なので、平均点をとれれば十分なのです。 魚の場合、用意したのはたしかホタテ、カレイorヒラメ、サザエ、あと魚1種くらい。ちなみに貝が多いのは捕まえやすそうだから。

犬についても、ブルドッグ・ダックスフンド・コーギー・アフガンハウンド 、あともう1種類くらいを、犬種は分かるだろうという程度まで創り込んでおきました。 また、用意した種類以外にも、汎用性のありそうな基本形を数種類用意しておき、残り時間に合わせて現場で即興対応する事にした。 用紙については、それっぽい色の紙を多めに用意して、題材に合わせてえらぶ事で対応します。

実戦では、とにかくピックアップした題材を優先して確保、早折りで点を確保し、残りの時間で確実に追加点を狙いました。 まず魚については、ホタテ、サザエ、カレイを確保。それぞれほぼ満点で終える。これでまず負けない事がわかったので、余裕をもって魚2種類(カワハギとアジだったと思う)でさらに追加点を獲得。犬の方は、ブルドッグ・ダックスフンドをまず確保。この段階で勝ち抜きは確定したので、残り時間でじっくりと追加点を狙いました。結果的に余裕をもって勝ち抜く事が出来たのですが、他の人の状況を見た限り単純な実力というよりは作戦勝ちでした。

余談ですが、この時折ったコッカーとレトリバーは、その後折り図化されたものとほぼ同じ形をしてます。この事からも十分すぎるほどの余裕があった事が分かります。

さらに余談。その裏(というか表)では、飯沢さんと宮本さんが同点(たしか)の状態から題材最後の1匹となったチワワを奪い合うという、番組としては非常においしい展開になっていました。ネタ的にはここがクライマックスで、全部持っていかれた。

 

決勝については、当然ながら勝たなければいけないわけですが、投票方式によって対策が変わります。 審査員が一般の人であれば、前述のように見た目重視で。専門家であれば、題材やまとまりも重視する必要があります。 ポイントとなるのは、

  • 高さを使ったレイアウト。
  • 作品一つ一つのサイズはなるべく大きく。
  • 自分が折る速度を把握しておく。(10時間でどのくらいの物(もしくは量)が折れるのか?等)
  • 最初から100点を目指さない。個別の作品は60点程度でもいいので、まずは全部の材料をそろえる。
  • 紙は使い慣れている信頼できるものを用意する。ここでも速度を考えるとホイル紙は有効。
  • ボリューム確保のため、簡単に追加できる小物を用意しておくとよい。ジオラマなら例えば草や波など、シンプルで幾何学的な形のもので問題無し。

あたりでしょうか。 あと、これは準備期間次第ではありますが、作品をある程度(前述の60点程度)まで仕上げる創作スピードも重要です。

以上、今のところまだ折り紙王は企画されていないようですが、それなりに定番となっていたので復活の可能性は十分あります。話がありそうな心当たりのある人は、スピード創作や10時間耐久折りとかしておくと安心ですよ。