リュウジンという競走馬

昔、面白い名前の馬がいるということで頂いた「リュウジン」という馬の単勝馬券。なんと勝ち馬券で、せっかくなのでそのままとっておいたものです。
https://db.netkeiba.com/race/200344090710/

「バハムート」の馬券も頂いたのですが、こちらは残念ながら4着。
https://db.netkeiba.com/race/200347091711/

ちなみに、北條高史さんの作品に関連して「コンゴウリキシオー」の話もよく出ていました。なかなか強い馬だったようですね。
https://db.netkeiba.com/horse/2002110159/

もう一つついでに競走馬でおそらく最も折り紙的な名前の「オリガミ」。
https://db.netkeiba.com/horse/ped/1999102383/

産駒も関連した名前が多くて面白い。個人的には「ヘンゲンジザイ」がナイスネーミングだと思う。
https://db.netkeiba.com/horse/mare/1999102383/


サメの創作

『Origami Aquarium』に適当なサメの作品がなかったので創ったもの。
創作の経緯もあり、作品の新しさや面白さなど創作者側の趣味は控えめで(当社比)、折り図化まで含めた総合的な完成度を重視した作品です。

サメを立体的に折るとかっこいいというのをしっかり見せたのは、グエン・フン・クオン氏の作品が最初でしょうか。
https://www.flickr.com/photos/blackscorpion/8696372676/
同じくらいの時期に、Nguyen Ngoc Vu氏も創作されているので、ベトナム・オリガミ・グループでの競作イベントがあったのかもしれません。
https://www.origami-shop.com/en/origamivn-colorized-expanded-edition-with-defect-xml-1751-12407.html
とにかく、この時期に複雑なサメの折り紙の形がある程度確立されたのではと認識しています。

たった一つの作品を境にして、その題材の折り紙の形がガラッと変わることがあります。その最初の形を見つけるのは本当に大変なのですが、実は二番手以降は近い目的地が見えているので随分と楽になります。今回、すでにいくつかの作例がある中で創作した本作でも、この事をとても強く実感しました。
それと同時に、同じことをするだけでは二番煎じとなってしまうので、より良い・面白い作品を創作するためには、技術・造形など差別化が必要になります。最低でもこれまでの作例と間違われないくらいの差別化はしたいところで、創作者の腕・個性の見せ所といえるでしょう。

話がそれた。サメの話に戻そう。今回の創作目標として、
・折り図化前提なので、難度や手順を「常に」考慮すること。
・難度の問題から歯は割愛、その代わりエラは折り出したい。
・見栄え重視で立体的に。できればインサイドアウト。
あたりを考えて進めます。

どこから創ってもいいのですが、ここ数年で頭部を残してお蔵入りの魚がいくつかあったので、同じ轍を踏まないようにまずは頭部から手をつけてみます。課題のエラは、可能であれば構造のヒダをうまく利用、そうでなければカドを出しておいて段折りするのがよさそうです。
とりあえず蛇腹でそれっぽい形を折ってみます。まあ悪くなさそうではありますが、この先どうなるか。一応全体も折ってみましたが、良くも悪くも想定通りの形。なにより無理・無駄が多く面白さや美しさがない。

仕方がないので改めて構造をよく見ていると、対角線を対称軸にした方がよさそうなことがわかりました。試しにと実際に折ってみると、前の試作のイマイチさ加減が嘘のように、いい感じの形が折り出せました。エラも無理なく出ているし、胸ビレの折り出し方も合理的で悪くありません。細かい部分はともかく、尾の側を適当に拡張すればカドは揃いそうです。

ということで尾の側に余裕をもたせて再度試作。追加した部分から腹ビレが綺麗に出てきました。ただ尾ビレに余裕がない。

さらに比率を変えて試作。少し多すぎたかとも思ったものの、比率なども分かりやすいし工程も折りやすい、なにより尾ビレは多少大きいくらいのほうが見栄えがするのでこれで確定です。
最後に左右に分かれた下顎をどうするか悩んでいたのですが、被せるようにして組み合わせるというアイディアが完璧にはまりました。これで完成です。

こういう作品を安定して出力できると、折り図化等いろいろ便利なのですが、創作するときに確実にゴールすることを絶対的な前提にしてしまうのも良くない。難しいところです。


空間充填ユニットの解説

ユニット折り紙作品は、多くの場合平面もしくは多面体をベースとして球状に組み立てます。球状に組む場合、外側・内側で表裏が生まれます。他にドーナツ型なども考えられますが、この場合も表裏があり、球体組みのバリエーションと考えることができるでしょう。

余談になりますが、トム・ハル氏の「entagon-Hexagon Zig-Zag (PHiZZ) Unit」で組んだ「クラインの壷」は、まさにこの表裏をコンセプトとしたものです。帯状のパーツを途中で山谷を逆にして表裏の接続をしています。 http://origametry.net/

平面・球体以外の組みパターンはあるのかと考えた時、答えの一つとして空間充填が思いつきます。これを実現するには、どのようなユニットが必要なのでしょうか? 基礎構造の最もシンプルなパターンとして、正四面体と正八面体による空間充填を考えてみます。このパターンは使用する角度が全て同じなので、作りやすそうというのが理由になります。それ以外だと立方体による充填等も考えられますが、正四面体と正八面体の方が形が面白いので先の課題としておきましょう。

多面体のユニットでは、基本的に「頂点」「辺」「面」のどれかをパーツの単位となっています。頂点は集まるカドが多くなりすぎ、面は組み合わせ方がすぐに思いつかないこともあり、辺を1パーツとして進めるのがよさそうです。 ということで基礎構造の辺の部分に注目してみると、1つの辺に面が4つ集まっていることがわかります。球状に組む場合は面が2つ接しているので、これをそのまま4面に拡張してやればよさそうです。実際にやることとしてはヒダを増やすだけで、特別なことはしていないのですが、とりあえず見覚えがないので、少なくとも有名な前例はなさそうです。

ということで、実際に折ってみたのが本作で、予想通りの形が予想通りに完成しました。

……というのを、多分2005年ごろに考え試作したのを思い出し、再度折ってみました。 装飾は一切ない地味な外見ですが、多面体以外の組み方の可能性を探す野心的な実験作と書くと、なんとなく凄そうな感じがしませんか?


ドラゴン曲線を折る

ふと、ドラゴン曲線を折れないかと思った。

ドラゴン曲線とは、自己相似フラクタル系の図形。折り紙と関連がなくもないので、割と親しみのある図形です。何より名前がかっこいい。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%B4%E3%83%B3%E6%9B%B2%E7%B7%9A


折り紙関係者には前川淳さんのブログ記事がわかりやすい。

http://origami.asablo.jp/blog/2019/02/06/9033192

紙のフチがドラゴン曲線になるように平らに畳むとどうなるだろう? さらに4つ集めたものは平面充填となるので、繰り返しパターンが安定すれば、理屈上は無限市松模様(+外側の複雑な形)が折り出せる……はず。

というのを思いつき、折ってみたらこれが予想以上に面白い。ここまで先が読めないのは久しぶりで、見覚えのない形が現れるのがとても楽しい。


1段階目は座布団折り、2段階目は表裏同等ねじり折りのような形になる。

3段階目からなんとなく特徴が現れてきて、4段階目になると対角線蛇腹をドラゴン曲線状に曲げていくという作品の形がはっきりと見えてくる。


5段階目で展開図に繰り返すようなパターンが現れる。順番に大きくなる表裏同等ねじり折りとヒダの組み合わせという構造も明確になってきた。

6段階目はさらに複雑化。ついに内側に飛び出した部分の重なりの干渉が発生。いろいろ情報量が多い。なお、画像はスキャナで強引に潰して撮っているが、実は厚みがまるで高層ビル群のように酷い事になっている。

面白いのはここまで来ても次の段階がきれいに折れるか予測しきれないこと。おそらく形自体は紙の突き抜けなどを無視すれば可能、実際に折れるかはどうも読みきれない。面白そうだけれど、面倒なので折りたくない。


飛びたい人(通称はなのようせい)

翼が生えた人型の物体。創作時期は私が小学生のころ(一番古い記録は1992年だが、多分もう少し前)で、実は最初の創作作品候補の一つ。一応モデルはイカロスだったのだが、顔の鼻が目立つので「はなのようせい」とよばれていた。

基本構造、造形共によくある小学生が作った作品という感じで、1点を除き特筆すべきことはない。 本題はその1点の部分で、頭部となる内部カドを広げるように加工して顔の形と鼻となるカドを折り出している。これは吉野一生氏の虎の頭部と同じような構造であり、稚拙ではあるものの、当時の自分なりに内部カドの活用を考えた結果と言えるだろう。 ちなみに、この構造を見つけていた結果として、虎を見たときの感想が「実力がある人が使えば、同じような構造でもここまでかっこいい形ができるのか」という、おそらく他の人とは少し違うものになった。

一応、それなりに応用性もあり、内部カドの利用方法としては捨てたものではない。実際にサイクロプスなど他の作品で使用している。 発展させて顔なども試作したが、今のところ使う機会がない。


正方形から最大の正五角形を折り出す

正方形に内接する最大の正五角形の折り出し方。多分車輪の再発明。


正方形から正五角形を折り出す場合、一般的に知られているのは少し誤差のある方法です。また正確な正五角形の場合は、伏見康治先生の著書『折り紙の幾何学』に記載されている方法などが知られています(私の知っている中では一番古そうな出典)。実用としては全く問題ないのですが、ふと最大の大きさの正五角形を折り出す場合はどうなるのかと思い考えてみました。

まず、正方形に内接する正五角形は下の図のようになります。

この答え自体は明確なのですが、折り出し方法は意外と難く、正五角形のカドの位置の必要な比率を愚直に折り出すくらいしか思いつきません。 もう少し面白い方法はないかということで、とりあえずカドを結ぶ等の補助線を入れてみます。

眺めていて気がついたのが、対角線と新しく追加した補助線の交点です。補助線上の交点の位置に注目してみるとわかりやすいのですが、この点は補助線と対角線を黄金比(1:(1+√5)/2)で分割した位置になります。

ここまでくればもう出来たも同然(とまずは思っていた)、黄金矩形の対角線と、正方形の対角線の交点として折り出すことができます。

実際の手順は以下のようになります。一切の無駄のない、大変きれいな手順です。

ただし実際に行ってみると、基準点は折り出せたものの、次に折る基準がないことに気がつきます。 せっかくなので最後まで考えてみます。

次に必要なのは正方形の辺から9度傾いた線の折り出しです。方法はいくつかありますが、すでに折り出してある黄金比を利用するのが無駄がなさそうです。ということで、最終的な手順はこちらになります。

というのを見つけた後で前例を探してみたら、BOSのウェブサイトに、第一回折り紙の科学の国際会議の論文集にてMorassi氏が発表されていたという方法が紹介されていました。まず正五角形の対角線の長さを折り出し、それを必要な位置に移すという手順です。

https://britishorigami.info/academic/mathematics/folding-optimal-5-6-polygons/

以上。案外知られていない、実用性は微妙な最大の正五角形の折り出しです。


創作tips:指のヒダは幅を変えてもよい

指などを折りだす時のヒダは均等になっていることが多いが、幅を変えると表現の幅が広がる。

折りやすさや扱いやすさは等分が優れているので、必要な場合にアクセント的に使うのがよいでしょう。

創作tips:ヒダの折り出しの幅は割と自由度が高いのような構造も利用できます。

例:パラケラテリウム。中心の蹄を大きく折りだすためにヒダの幅を変えている。


折り図を描く際に設定しているアクション

AIには、「アクション」という一連の作業を記録・実行する機能があります。

具体的には、よく使う機能や定型の一連の作業、数値の入力が必要なものなどを登録しておくとよいでしょう。また、ショートカットを設定できるので、よく使うものは割り振っておくとより便利です。

利点は、ツールの持ち替えや、ポインタの移動、数値の入力等を省略できることで、一つ一つにかかる時間は数秒程度でも、何百回と繰り返すことを考えれば大きな差になります。また、数値の入力や同じ作業の繰り返しでは、ミスを防ぐ効果も期待できます。

折り図を描く際に、実際に使っているものをいくつか紹介します。

・水平方向に反転、垂直方向に反転

変形パネルのメニュー等もあるけれど、わりと使用頻度が高いのでマウスを動かさずに呼び出せるのは便利。

・45度、-45度、22.5度、-22.5度の回転

45度はともかく、22.5度については変形パネルへの数値入力が割と面倒。 変形・回転ツールは22.5度の回転は使いにくいし。作品によっては30度や15度なども用意しておくと便利。

・拡大、縮小

それぞれ変更率を決めておく場合は数値入力が必須なので、アクション・ショートカット化は有効。

過去記事より:折り図tips:拡大・縮小は率を決めておくとよい

・各種グラフィックスタイルの設定

グラフィックスタイルパネルからスタイルを選び選択するより、ショートカットの方が早い。 ちなみに直接線幅等を変えていないのは、グラフィックスタイルを入れ替える場合の汎用性のため。同じ名前にしておけば、スタイルを入れ替えることができます。

表面、裏面、折り筋、山折り線、谷折り線などは、よく使うのでおすすめ。私の場合はこれに加えて矢印用の線、白い記号用、点線(太)、点線(細)を登録しています。

・特定のメモのあるオブジェクトを選択

AIでは、属性パネルに「メモ」というテキスト情報を持たせられる項目があります。あまり使われていないっぽい機能のですが、実はアクションからであれば検索キーとして使うことが可能です。 例えば、複製して使う前提の回転・拡大等の記号などに「記号」というメモを加えておけば、アクション一発で選択状態にできるようになります。 それ以外だと手順の数字に専用のメモを振っておくのがおすすめ。

ちなみにメニュー等からの検索では利用できないようなので、アクションやスクリプトを使わないと活用は難しそう。せっかくオブジェクトごとに自由な情報を追加できるのに勿体ない。

・各種スクリプト

アクションではないですが、よく使うスクリプト等にもショートカットを設定しています。

過去記事より:Adobe Illustratorでスクリプトを動かすプログラマブルキーボードが便利だった。


創作tips:カドの長さと構造

展開図のわかりやすさ・美しさを重視する場合、基本的に「カドの長さ=構造」となります。当たり前の話ですが、使う構造でカドの長さが決まります。実際には逆に必要なカドの長さに合わせて構造を選択することになるでしょう。

22.5度系でのカドの長さ(折り返す位置)は図のようになります。正確には無数にありますが、代表的なものを描いてあります。この位置やバランスを覚えておくといろいろと便利です。できれば22.5度の距離感として叩き込んでおくとよい。

それぞれのカドの長さに対応する代表的な構造は以下の図のようになります。22.5度の場合は、二等辺三角形状の分子でカドの長さが決まることが多いので、キーとなる分子の大きさを意識して構造を選ぶとよいでしょう。


創作tips:4鶴の変形

4鶴は拡張性の高い便利な基礎構造ですが、得られるカドの長さや間隔が全て同じなので、カドの長さを持て余したり、バランスが合わない場合もあります。 そこで4鶴を構成する構造のバランスを変える事で、より無駄なく必要な大きさのカドを得ることができます。

まずは対角線上の2つの基本形のバランスを変えた場合。両側の部分は長方形になります。カドの間の領域を胴体として翼を持つ空想動物などに使えます。

次に基本形が重なるように変形させた場合。カドの間隔を利用し、昆虫作品で左右の部分を脚として使うなどが考えられます。

両方同時に行うこともできます。ここまで変形させると4鶴感はあまり残っていません。

今回は4鶴を例にしていますが、他の構造も同じように変形が可能です。基礎構造のバランス変更の利点は、なにより必要な長さのカドが無駄なく得られることです。逆に汎用性が低下し扱いづらくなること、比率や手順の複雑化などが短所となります。なるべくシンプルな構造を優先し、必要があれば変形・融合などを行うのがよいでしょう。