VellumCADとViaCad

折り図を描くときには、Adobe IllustratorやAffinity Designerなどのドローソフトが使われます。では展開図はどうなのでしょうか?

ドローソフトで展開図も描けるのですが、機能や精度等に限界があります。そこで製図等に使われるCadソフトや、最近ならoripaやorihimeなどが便利です。

※「oripa」:https://mitani.cs.tsukuba.ac.jp/oripa/

※「orihime」目黒さんのサイト:http://mt777.html.xdomain.jp/

私の場合は、展開図などを描くときにはViaCadを使っています。

https://www.punchcad.com/punch-viacad-2d

日本語版もないのになぜ? と思われるかもしれませんが、理由は少し長くなり2000年ごろまで遡ります。

展開図はFreeHandで描いていたのですが、スナップ機能や精度等に機能的な限界を感じていました。Cadソフトが便利らしいという事は聞いていたのですが、当時はMacOSで動くまともなCadソフトはそう多くありませんでした。

そのなかで見つけたのが「MacVellum」です。実売価格2万円程度(たしか)とCadソフトとしては比較的安価で、機能的にも十二分のようです。決定的だったのは、試用版をダウンロードしてのテストが非常に良かったということです。試しに複雑な展開図を実際に描いてみると、使い込んだFreeHandより早く描くことができました。

そういうことでしばらくは「MacVellum」を愛用していたのですが、2007年ごろにMacOSのバージョンが上がり、旧OSのソフトが使えなくなりました。開発・販売会社の倒産等によりよくわからない状態になっていたのですが、後継ソフトの一つ「DraftBoard」がファイルの引き継ぎなど良さそうです。というわけで「MacVellum」と比べると少々高めではあったものの(たしか4万円くらい)Cadソフトとしてはそんなものなので「DraftBoard」を導入。

※「vellum」関連の判例。本当にいろいろとあったらしい。

http://www.translan.com/jucc/precedent-2010-03-31.html

そしてさらに数年後、いわゆるIntelMacへの対応のため、再度ソフトウェアの更新が必要になりました。候補はいくつかあったのですが、VellumCad系の「ViaCad」を発見。残念ながら英語版のみとなりますが、2D版は$39とかなり安かった(当時)のでダメ元で導入。細かい操作感の違いや荒い挙動はあるものの、基本的な機能は同じということもあり普通に使えるようになりました。なお言語の違いも同じ理由ですぐに慣れた。

ちなみにVellumCad系のソフトの特徴として、ドラフティングアシスタントという非常に強力なガイド機能があります。大雑把に言えば線の起点や交点等から一時的に水平・垂直……それどころか設定次第では22.5度などのガイドも出せるというような機能なのですが、これが展開図を描く作業と非常に相性がよく、操作感なども含めて展開図を描くためにあるような機能なのです。

上の画像のように、いきなり22.5度を基準とした線が描けるのは強い。グレーの線がドラフティングアシスタントのガイド。実は少々作りの荒いところがあり、たとえば画像では小数点以下の角度は表示されていないのですが、ちゃんと正しい角度でスナップしています。

現在、oripaやorihimeなどの折り紙の展開図を描く専用ソフトなどもあり、2000年代の状況とは違いわざわさCadソフトを使う強い理由はあまりありません。ただ、私個人としては、創作中に構造を整理しながら補助線や円領域などを書き込んだ状態の展開図を描く作業や、そのなかで生まれるアイディアもあること、また折り図用のテンプレート的なものの用意などにも使っているので、当面はViaCadを使おうと考えています。