
「聖天使アルテマ / Ultema The Nice Body」
創作・制作:神谷哲史
2012年(多分)創作。
別名アジョラさん大回転。デザイン画を見て、赤白の2色で折れると思ったので折ったもの、だったと思う。折りかけが出てきたのでせっかくなので完成させてみた。
用紙は多分50cmくらいだけれど、絶対的な大きさが足りていない。

「聖天使アルテマ / Ultema The Nice Body」
創作・制作:神谷哲史
2012年(多分)創作。
別名アジョラさん大回転。デザイン画を見て、赤白の2色で折れると思ったので折ったもの、だったと思う。折りかけが出てきたのでせっかくなので完成させてみた。
用紙は多分50cmくらいだけれど、絶対的な大きさが足りていない。
『Origami Aquarium』に適当なサメの作品がなかったので創ったもの。
創作の経緯もあり、作品の新しさや面白さなど創作者側の趣味は控えめで(当社比)、折り図化まで含めた総合的な完成度を重視した作品です。
サメを立体的に折るとかっこいいというのをしっかり見せたのは、グエン・フン・クオン氏の作品が最初でしょうか。
https://www.flickr.com/photos/blackscorpion/8696372676/
同じくらいの時期に、Nguyen Ngoc Vu氏も創作されているので、ベトナム・オリガミ・グループでの競作イベントがあったのかもしれません。
https://www.origami-shop.com/en/origamivn-colorized-expanded-edition-with-defect-xml-1751-12407.html
とにかく、この時期に複雑なサメの折り紙の形がある程度確立されたのではと認識しています。
たった一つの作品を境にして、その題材の折り紙の形がガラッと変わることがあります。その最初の形を見つけるのは本当に大変なのですが、実は二番手以降は近い目的地が見えているので随分と楽になります。今回、すでにいくつかの作例がある中で創作した本作でも、この事をとても強く実感しました。
それと同時に、同じことをするだけでは二番煎じとなってしまうので、より良い・面白い作品を創作するためには、技術・造形など差別化が必要になります。最低でもこれまでの作例と間違われないくらいの差別化はしたいところで、創作者の腕・個性の見せ所といえるでしょう。
話がそれた。サメの話に戻そう。今回の創作目標として、
・折り図化前提なので、難度や手順を「常に」考慮すること。
・難度の問題から歯は割愛、その代わりエラは折り出したい。
・見栄え重視で立体的に。できればインサイドアウト。
あたりを考えて進めます。
どこから創ってもいいのですが、ここ数年で頭部を残してお蔵入りの魚がいくつかあったので、同じ轍を踏まないようにまずは頭部から手をつけてみます。課題のエラは、可能であれば構造のヒダをうまく利用、そうでなければカドを出しておいて段折りするのがよさそうです。
とりあえず蛇腹でそれっぽい形を折ってみます。まあ悪くなさそうではありますが、この先どうなるか。一応全体も折ってみましたが、良くも悪くも想定通りの形。なにより無理・無駄が多く面白さや美しさがない。
仕方がないので改めて構造をよく見ていると、対角線を対称軸にした方がよさそうなことがわかりました。試しにと実際に折ってみると、前の試作のイマイチさ加減が嘘のように、いい感じの形が折り出せました。エラも無理なく出ているし、胸ビレの折り出し方も合理的で悪くありません。細かい部分はともかく、尾の側を適当に拡張すればカドは揃いそうです。
ということで尾の側に余裕をもたせて再度試作。追加した部分から腹ビレが綺麗に出てきました。ただ尾ビレに余裕がない。
さらに比率を変えて試作。少し多すぎたかとも思ったものの、比率なども分かりやすいし工程も折りやすい、なにより尾ビレは多少大きいくらいのほうが見栄えがするのでこれで確定です。
最後に左右に分かれた下顎をどうするか悩んでいたのですが、被せるようにして組み合わせるというアイディアが完璧にはまりました。これで完成です。
こういう作品を安定して出力できると、折り図化等いろいろ便利なのですが、創作するときに確実にゴールすることを絶対的な前提にしてしまうのも良くない。難しいところです。
ユニット折り紙作品は、多くの場合平面もしくは多面体をベースとして球状に組み立てます。球状に組む場合、外側・内側で表裏が生まれます。他にドーナツ型なども考えられますが、この場合も表裏があり、球体組みのバリエーションと考えることができるでしょう。
余談になりますが、トム・ハル氏の「entagon-Hexagon Zig-Zag (PHiZZ) Unit」で組んだ「クラインの壷」は、まさにこの表裏をコンセプトとしたものです。帯状のパーツを途中で山谷を逆にして表裏の接続をしています。 http://origametry.net/
平面・球体以外の組みパターンはあるのかと考えた時、答えの一つとして空間充填が思いつきます。これを実現するには、どのようなユニットが必要なのでしょうか? 基礎構造の最もシンプルなパターンとして、正四面体と正八面体による空間充填を考えてみます。このパターンは使用する角度が全て同じなので、作りやすそうというのが理由になります。それ以外だと立方体による充填等も考えられますが、正四面体と正八面体の方が形が面白いので先の課題としておきましょう。
多面体のユニットでは、基本的に「頂点」「辺」「面」のどれかをパーツの単位となっています。頂点は集まるカドが多くなりすぎ、面は組み合わせ方がすぐに思いつかないこともあり、辺を1パーツとして進めるのがよさそうです。 ということで基礎構造の辺の部分に注目してみると、1つの辺に面が4つ集まっていることがわかります。球状に組む場合は面が2つ接しているので、これをそのまま4面に拡張してやればよさそうです。実際にやることとしてはヒダを増やすだけで、特別なことはしていないのですが、とりあえず見覚えがないので、少なくとも有名な前例はなさそうです。
ということで、実際に折ってみたのが本作で、予想通りの形が予想通りに完成しました。
……というのを、多分2005年ごろに考え試作したのを思い出し、再度折ってみました。 装飾は一切ない地味な外見ですが、多面体以外の組み方の可能性を探す野心的な実験作と書くと、なんとなく凄そうな感じがしませんか?
ふと、ドラゴン曲線を折れないかと思った。
ドラゴン曲線とは、自己相似フラクタル系の図形。折り紙と関連がなくもないので、割と親しみのある図形です。何より名前がかっこいい。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%B4%E3%83%B3%E6%9B%B2%E7%B7%9A
折り紙関係者には前川淳さんのブログ記事がわかりやすい。
http://origami.asablo.jp/blog/2019/02/06/9033192
紙のフチがドラゴン曲線になるように平らに畳むとどうなるだろう? さらに4つ集めたものは平面充填となるので、繰り返しパターンが安定すれば、理屈上は無限市松模様(+外側の複雑な形)が折り出せる……はず。
というのを思いつき、折ってみたらこれが予想以上に面白い。ここまで先が読めないのは久しぶりで、見覚えのない形が現れるのがとても楽しい。
1段階目は座布団折り、2段階目は表裏同等ねじり折りのような形になる。
3段階目からなんとなく特徴が現れてきて、4段階目になると対角線蛇腹をドラゴン曲線状に曲げていくという作品の形がはっきりと見えてくる。
5段階目で展開図に繰り返すようなパターンが現れる。順番に大きくなる表裏同等ねじり折りとヒダの組み合わせという構造も明確になってきた。
6段階目はさらに複雑化。ついに内側に飛び出した部分の重なりの干渉が発生。いろいろ情報量が多い。なお、画像はスキャナで強引に潰して撮っているが、実は厚みがまるで高層ビル群のように酷い事になっている。
面白いのはここまで来ても次の段階がきれいに折れるか予測しきれないこと。おそらく形自体は紙の突き抜けなどを無視すれば可能、実際に折れるかはどうも読みきれない。面白そうだけれど、面倒なので折りたくない。
タイトル:「ゲーミング-α」
創作・制作:神谷哲史
2020/07創作
七色に輝くゲーミング折り紙があったら面白いのではという馬鹿話から、現実的なのはユニット作品で、シンプルな黒い立体のすき間に色が見えるようなものでどうだろうか?と考え創作。ネタ作品のはずだったのに割と出来が良い。
構造はシンプルなのでほぼ同じ作例があるかもしれません。ただ、もし前例があっても隙間はないと思う。いわゆる薗部ユニットよりも一回り大きくなります。作例は黒い折り紙の裏側にマーカーで色をつけています。ネタ抜きで折るなら、赤茶色等のレンガをイメージした色で折ると一般受けするのではないでしょうか。
折り筋を変えて向きを変えたものが「ゲーミングβ」の予定。
12月の教室の講習作品は、カモシカに決定しました。なんというか地味な題材ですが、かなり効率の良い作品で構造もなかなか面白い、折り紙作品としての出来は悪くないはずです。
1:4ユニットの裏組みバージョン。表裏以外は折り方も組み方も同じ。
マンタ。
ウェットフォールディングで折ると楽しそうな、シンプルなマンタが創りたかったはずだったのだけれど……シンプル?
内側での折り込み部分さえなければ。惜しい。
創作自体はわりとあっさりと完成しました。
まずは尾の部分。とりあえず最もシンプルな方法、鶴の基本形を使用します。いくつかの可能性が考えられる場合、簡単なものから試すのは常套手段です。なお、面白そうなものから試すという判断基準もありです。個人的には大好きなのですが、創作は楽しいけれど完成しない可能性も高くなります。難しい。
左右に大きく広がるヒレは、45度がいろいろときれいにまとまりそうなので、形としてはこれを採用。とりあえず適当なところで後ろ側のフチを曲げる。そのまま辺にぶつかる点をヒレのカドの先とします。で、残った部分で頭部を折る事になります。特徴的な頭部のヒレの位置は、これもとりあえず最も折りやすそうな位置に固定。あとは折り畳めば完成。
……のはずが、案外きれいにまとまらない。仕方がないので22.5度以外の線も許容して、頭部のヒレに角度をつけて折り畳む事にします。試行錯誤の結果、それなりによさそうな形にまとまったのでこれで完成。頭部がぐらい無しでほぼ出来上がるのは予想外ではあったけれど、悪くない方向でまとまったと思う。そういう事にしておいて下さい。