もみ紙、強制紙の話

「もみ紙」と「強制紙」は、どちらもしわ加工された和紙です。

平面の状態にして正方形を切り出す段階ですでに難しく、折っているとしわが伸びるので正確に折るのも難しいという、上級者向けの紙といえるでしょう。

よく聞かれるのですが、神谷作品では「もみ紙」や「強制紙」もよく使っています。ただ、上記の通り扱いが難しく、簡単に人に勧められる紙ではありません。完成作品を見て紙の種類が分かるくらいの技量と知識があれば、挑戦していただいて問題ないのですが……

ひたすら折りにくいと書いていますが、もちろん利点もあります。まずはしわの加工のおかげで見栄えがいいこと。とても重要です。もう一つは丈夫なことで、基本的に和紙自体が丈夫であることはもちろんなのですが、たとえば厚みがある部分を折るような場合に、ついているしわが伸びることである程度表面の紙にかかる負荷を吸収してくれます。結構な無理もできてしまうのは、大きな利点です。

なお、コツというほどのものではありませんが、正方形の段階で必要な基準点等全てに印をつけて、印を結ぶように折り筋をつけると、少なくともカドの位置関係は比較的正確に折ることができます。後は紙の状態に合わせて随時細かい補正をし続けることでしょうか。なんにしても現物の状態と相談しながら調整することになります。

完成品の見栄えがいい紙と、折りやすい紙、さらには作品に必要な質の紙は、それぞれ違います。

全てを兼ね備えた紙があれば最高なのですが、なかなかぴったりの紙というのは見つからないものです。

作者が使った紙は、当然それを使う理由はあるものの、全ての場合においてベストな紙ではない。そんな話です。